- 筋トレって筋肉つける以外にどんな効果があるの?
- 内臓には効果ありますか?
- 健康診断にも引っかからないようにしたい!
以上のような疑問を持った人には朗報です。
筋トレは筋肉をつけて外見を引き締めるだけではありません。心疾患のリスクも減らすことがわかってきました。
管理人について
私は17年目の理学療法士で、糖尿病療養指導士の資格も保持しています。
運動・朝活・読書を5年以上継続しています。
本や論文で得た知識を生活に活かし、自分の体の変化について発信しています。
この記事では、筋トレすることで内臓にどんな効果があるのかわかりやすく解説してます。
この記事を読むことで、
- 筋トレが与える効果がわかる
- 推奨されている回数がわかる
- エビデンスがわかる
筋トレしている人も、していない人も身体に与える影響を知ることはめっちゃ重要なので、ぜひご覧ください。
テーマ提示 論文タイトル & 出典
- タイトル:「Resistance Exercise Training in Individuals With and Without Cardiovascular Disease: 2023 Update: A Scientific Statement From the American Heart Association」 (心血管疾患の有無を問わず、レジスタンス運動トレーニング:2023年最新情報:米国心臓協会による科学的声明)
- 著者:アメリカ心臓協会(AHA)の科学的声明で、代表著者(筆頭)はBethany Barone Gibbs, PhD, FAHA+AHAの専門家グループ
- 年代:2023年12月 雑誌名:Circulation(サーキュレーション)
今回は、ランダム化比較試験や観察研究ではなく、ナラティブレビュー/エビデンス総括型のステートメント論文にあたります。
つまり「既存の研究を体系的に整理し、専門学会としての推奨や立場を示したもの」で、システマティックレビューやメタ解析のように厳密な検索・統計処理は伴わないのが特徴です。
掲載されている雑誌も心血管領域ではトップクラスに権威のある雑誌です。
今回の論文の目的
筋力トレーニング(RT)が心血管疾患(CVD)およびそのリスク因子に与える影響に関する新たなエビデンスをまとめることを目的としてます。

心血管に与えるリスクってたくさんあるから気になる。
結果と結論を要約
結論を先に伝えると、
- RT(レジスタンストレーニング)は安全かつ有効な手段として、筋力・心血管・代謝・精神面に幅広くメリットをもたらす。
- 有酸素運動との併用が最も効果的であり、死亡リスクや様々な健康指標の改善において優位。
- RTの普及は十分ではなく、推奨される週2回の実施が定着するよう、臨床・公衆衛生の両面から啓発と処方支援が必要である。

つまり、筋トレは筋力・心血管・代謝・精神面にプラスの影響をもたらし、有酸素運動も一緒に行うと更に効果絶大!
それなのに筋トレする人は少ないのが現状だから、もっと広めないといけないね!ってことです。
以下に詳しく見ていきます。
伝統的なCVD(心血管疾患)リスク因子への効果
伝統的なリスクというのは、昔から心血管疾患リスクとして定番のものをいいます。
- 血圧
- 血糖・インスリン感受性
- 脂質プロファイル
- 身体組成
①血圧
血圧は若年者~中高年まで下がる結果になっています。
筋トレをすることで、特に高血圧の方の効果は顕著になります。
②血糖・インスリン感受性
定期的な筋トレにより糖尿病発症リスクが約17%低下することがわかっています。
高齢者では空腹時血糖が2~5 mg/dL低下し、HbA1cは0.34%低下(特に発症歴が浅く、HbA1cが高めの群ほど効果が大きい)
③脂質プロファイル
主にコレステロールですが、善玉コレステロールは増え、悪玉コレステロールは下がる結果になっています。
また総コレステロールやトリグリセリドの値も改善することがわかっています。

わたしは健康診断で脂質異常症の診断が出ていましたので、筋トレでコレステロール値の改善が得られるなら最高!
もちろん食事も気をつけなければなりませんが。
④身体組成
過体重・肥満者では除脂肪量+0.8 kg、体脂肪率−1.6%、脂肪量−1.0 kgという改善傾向が見られています。
体重そのものの大きな減少にはつながりにくいが、体組成の改善と代謝向上には貢献するとのこと。

いわゆる代謝がよくなるってことだね!
非伝統的なCVDリスク因子への効果
次に非伝統的なリスクですが、非伝統的なというのは、
最近注目されてきた補足的・新しいリスク因子のことです。見ていきましょう。
- 心肺持久力(VO₂maxなど)
- 血管内皮機能、炎症マーカー(CRP)
- 睡眠の質向上、抑うつ・不安の軽減、生活の質(QoL)
①心肺持久力(VO₂maxなど)
大きな改善はありませんが、小〜中程度の改善(+1~3 mL/kg/min)が見られました。
ここは有酸素運動の方が効果がデカいかも。
でも筋トレもやらないよりはやったほうが心肺機能に少しは影響ありそう。
②血管内皮機能、炎症マーカー(CRP)
血管内皮機能の改善は(約2〜3%向上)、炎症マーカー(CRP)の低下(全体で−0.26〜0.37 mg/L、リスク群では−2.47 mg/Lを報告) 身体の炎症値も下げるのは驚きです。
最近では慢性炎症が様々な病気に関連していることがわかってきました。
筋トレで炎症値を下げれるのはありがたい。
③眠の質向上、抑うつ・不安の軽減、生活の質(QoL)
すべての面において向上し、精神面にもポジティブな影響があるとのこと。
筋トレすることで、精神的にも安定して、ぐっすり寝れるならホント最高だね。
有酸素運動(AT)との比較および併用効果
レジスタンストレーニング(RT)単独でも有酸素運動単独(AT)と同等の効果が期待されるが、併用(CT)の効果がより強力とのこと。
死亡リスクにおいて、RTやAT単独で18〜29%のリスク減、CT(併用)は40〜46%のリスク減を示す結果でした。
体組成・血糖制御では特にCTが優位。
有酸素運動と筋トレを組み合わせたほうが更に効果的なのが今回の結果からわかります。
わたしは平日は筋トレで、週末は筋トレとランニングをしています。
自分の生活リズムに合わせるのがいい。

生活習慣病のリスクが高いと感じている人は有酸素も筋トレも両方やっちゃうのが一番効果的。
正直、継続するのはめちゃくちゃきついですが。
安全性は?
RTの実施中の心血管イベントは非常に少なく、安全性が高いです。
ATよりリスクが低いとの報告もあり。
1回あたり8〜12回の反復が可能な負荷での実施が、筋力・持久力・心血管改善にバランスよく寄与するとのこと。
以上のことから、一回あたりの負荷量をちゃんと設定すれば安全性はとても高いです。

私の負荷量なら、ダンベルプレスするときに重さが18kgで10回くらいなので、それを3セット行っています。
すでに心臓病を患っている人はかかりつけ医に相談する必要があります。
自分の体験や臨床での気づき
今回、2023年のアメリカ心臓協会による科学的声明を読んで参考にしていく点は、
- 有酸素運動と筋トレも並行して行う
- 患者さんにもリスク管理しながら筋トレを行う
- 自分自身も筋トレを継続する
わたし個人も筋トレを継続しなきゃと気が引き締まりましたし、患者さんにもや介護予防教室でも筋トレの重要性をもっと説明していかなきゃならないと感じました。
また臨床での負荷量ももう少し検討してしていく必要があると感じました。
読者への行動提案:腕立て10回からはじめませんか?
今まで有酸素運動は推奨されてきましたが、筋トレも十分効果があることがわかりました。
しかも、筋肉を増やすだけではなく、内臓への影響や、睡眠にまでプラスの影響があるのでやらないのはもったいない。
筋トレを習慣化することで病気のリスクが大きく減らせるからです。
習慣化するために、小さく少なく始めることが効果的! 例えば腕立て10回を毎日続けるような筋トレでもOK。
まずは継続を目的にしてみてください。
回数を増やしたり、負荷を増やすのは習慣になってからでOKです。
負荷が少なくて筋肉がつかないのでは?と疑問に感じる弱さでいいんです。
結局続かなければ筋肉は元に戻ります。 だったら続けられる負荷で頑張りましょう。